はじめに バブルの破裂と連発するクライシス

ドルの実力を示す実質実効為替レートは、変動相場制移行以来の危険水準まで下落している。いつドルの暴落懸念が高っても不思議ではない状況だ。昨年のユーロクライシスに続き、今年はドルクライシス(ドル危機)が市場を席巻するかもしれない。

はじめに バブルの破裂と連発するクライシス

世界経済は、2004年から07年にかけて年平均5.0%で成長しました(国際通貨基金(IMF)のワールド・エコノミック・アウトルック(WEO))。世界経済が、4年にもわたってこのような高成長を記録したことは1980年以降初めての出来事で、文字通り歴史的な好景気であったといえるでしょう。これは、換言するなら、歴史的な世界バブルの膨張であったといえます。

 

そして、この歴史的な世界バブルが破裂した後は、毎年のようにクライシス(危機)が世界経済を襲いました。すなわち、07年の米国の不動産バブルが破裂したサブプライム・クライシスは、翌年に、米国の大手金融機関が破たんするリーマン・クライシスを招きました。 08年には、不動産バブルの破裂が中東に飛び火して、ドバイ・クライシスが起きると、昨年は、欧州にまで波及し、ユーロ・クライシスとなりました。

 

連続して発生するクライシスは、00年代半ばに起きたバブルが歴史的な規模であったため、その後のネガティブ・ショックも非常に長期にわたらざるを得ないということを意味しています。それでは、今年は、いかなるクライシスが起こる可能性があるのでしょうか。筆者は、国際通貨投資を行う上で、今年は、ダラー・クライシス(ドル危機)に十分留意する必要があると考えています。

 

読者の皆様も、ドルの為替レートや米国債の暴落といったダラー・クライシスについて、新聞・雑誌のセンセーショナルな記事で目にされたことがおありになるでしょうが、そのメカニズムから順序立てて取り扱ったものは稀有と思います。ここでは、基軸通貨の仕組み簡潔に説明することから始めていきたいと思います。

基軸通貨が成立するわけ

「期待」に裏打ちされて流通する通貨日本にお住いの読者の皆様は、仕事で得る報酬を円建ての現金や銀行振り込みで受けとっておられる方が多いでしょう。この、一見日常的な出来事も、よく考えると不思議なことです。なぜなら、額に汗して働いた対価を、それ自体は何の価値もない紙幣や銀行預金で受け取り、それらの形のままで、富を保存しているわけです。

 

元来、通貨は、金貨、銀貨といったそれ自体価値のあるものでした(金・銀本位制)。ただ、質量の重い金貨や銀貨(鋳貨)を持ち歩くことは不便なため、次第に、政府・中央銀行が一定比率での金・銀地金への交換を保証した通貨(兌換紙幣)が用いられました(金・銀地金本位制)。しかし、現代では、より利便性が追求され、何の裏打ちもない紙幣、預金や電子マネーが通貨として流通しています。

 

それ自体何の価値もない通貨が流通することができるのは、人々が、こういった通貨が将来にわたって流通し、価値を維持するという「期待」をもっているからに他なりません。その「期待」の根拠となっているのは、法律や政府・中央銀行への信頼、企業への信用などです。

 

例えば、日本が外国に侵略され、円か使えなくなるという不安が生じれば、人々は、円を外貨や金に交換せざるを得なくなります。これは、地政学的なリスクによる通貨下落と呼ばれます。政府や中央銀行が国債や通貨を乱発しても、同様のことが起こるでしょう。最近のユーロ・クライシスによるユーロ下落はこの種のものです。また、電子マネーの流通を保証している企業が倒産する不安が生じれば、その電子マネーを紙幣や預金に交換せざるを得なくなります。

 

したがって、ここでは、通貨は、人々がその通貨が将来にわたって流通し、価値を持ち続けるという「期待」があってこそ流通することができるという点が重要です。

 

FX投資家が気をつけるべきこと「歴史的な円高」

米FOMC議事録公表が控えていることから、その内容がタカ派なもので あれば、利上げ期待感が高まり、ドル買い優勢の展開が強まる可能性がある。 先週発表された、米・4月輸入物価指数、米・4月生産者物価指数ともに強めの
結果となったため、市場内では米インフレリスクに対する警戒感が一段と 強まっていることもあり、5月19日未明に公表される米FOME議事録には市場の 注目が集まりやすくなっている。

 

一方、先週、タリバン勢力がパキスタンへの報復テロを実行したとの声明を 発表するなど、地政学リスクを回避する動きも無視ができない。 テロ報道は、ドル売りを想起させるものであり、先行き不透明感から対円でも ドル売りが強まれば、ドル円の上値が抑制される可能性が高まると予想する。

 

直近のドル円の値動きを見ると昨年からドル売りが続きいるが、大局的に360円からドル円は80円に下落しており、長期的なドル売りトレンドにあることを忘れてはいけない。